よみもの

ただ
お参りするだけでいい
気持ちを和ませる
これが
神社だと私は思うんです

早島のあの人

みなさんの今年の初詣はどこに参られましたか?
年末年始の風物詩になってきた鶴﨑神社のジャンボ干支。実は仕掛け人がいるんです。
今回は、知られざる「宮司」というお仕事の裏側と、噂のジャンボ干支のお話を
宮司の太田浩司さんにお聞きしました。

宮司は普段何をしているの?

普段はね、結構事務の仕事がある。おっきなお宮になるとね、ちゃんと部長とか係長みたいな役職がおるわけですよ。会社とまったく同じ。だけど、一人だと事務もやらないといけないし、全部自分でやってる。鶴﨑神社は1700坪あるんですよ。掃除もせにゃいけんし、なんか危ないような木が倒れそうになったら切らにゃあいけんしとか、境内の維持管理ですね。
 それと、宮司ってね、実は転勤があるんですよ。神社同士でお話ができたら、転勤できるんです。ここには先代の宮司さんがいらっしゃったんですけど、ご病気になられて。その時私は妹尾にいて、隣同士で同じ支部だったんです。なので、七五三とお正月に手伝いに来たのが縁で「ここの宮司をやってもらえんか」という話になって、こちらに赴任してまいりました。
 氏子さんはいろいろと悩まれて、1年間が無事に過ごせますようにとか、大きな転機があった時にうまいこと行きますようにって、お参りになられるわけですよね。そうやって、拝みにこられて、また清々しい気持ちで帰っていただくようにサポートするのが私の役目です。人の気持ちが晴れればなお良いわけです。だから境内をきれいにして、清々しい気持ちで参拝をしてもらって、気持ちが晴れて、お家に帰っていただければ、それが宮司の仕事だと思うんです。

折り紙の干支とい草の干支と

元はね、以前に私が奉職していた御前神社っていうところで、大きな絵馬をつくってたんです。で、私がここに赴任して来て、なんかやらにゃぁいかんなぁと思って考えよって、子供とアニメを一緒に見てたら、折り紙を折るというのがあって、そこで閃いたんですよ。じゃあ干支の折り紙をやろうって。干支の折り紙なんか日本中探してもないじゃろうって。
 これをマスコミに言った時に、ものすごいテレビ局や新聞社がバー!っと来て。山陽新聞も第一面!カラーで!ドカーンとすごい紹介してくださった。私が赴任してきた頃は、正月でも参拝者はポロポロポローっといるぐらいでほんっと少なかった。ただ、これやった途端、すっごい人で県外からも来られたりしたんです。
 で、12年でひと巡りする。そしたら次は早島と繋がりのあることをしようと考えてて、じゃあ「い草」だ、ってなって。神社の知名度も上がってくるし、お参りの人も増えてくるし、同時に早島町のPRもできたらなと考えて始めたんです。ちなみにこの干支の材料は、畳表を切った後の端材なんですよ。産廃じゃな。捨てる物を使って、仕上げる。結局大きいお宮なら、お金をかけてこんなん作ってくれ言やあできるわけじゃけど、それでは面白くないと。お金をかけずに、町のPRもでき、氏子の皆さんに喜んでもらえるようなものを作ると。ということがコンセプトです。
 ただ今回はね、ちょっと1回失敗したんで(笑)1週間ぐらいロスがあってね。延べ1ヶ月くらいかかった。最初の頃はどうやって作ったらいいのかもわからないし、大変だったんだけど、だんだんやり方がわかり出して。だから最近はうまいこと出来だしたんだけど、上手いことできるようになったら、今度は干支がまたひと巡りする笑。
 新聞やニュースになると「早島」とか「早島町のいぐさ」という言葉が出るから。これがええことだと思うんですよ。それを見た方が「私は早島出身」いうことを身近に感じられる。だから私はなるべく「早島町」ということを言いたい。そうやって言うことで、また皆さんが早島のこと想ってくれる。氏神様のことを想ってくださる。それが郷土愛ですね。
 そうやって早島もいろんな人がいろんなことをやりよんじゃでっていうことでね、活性化したらいんじゃないかなと思いますわね。別に名産じゃ特産じゃいうのがなくても、何かは絶対にあるはずですから。

プロフィール

太田 浩司さん

1960年生まれ。平成10年に鶴﨑神社に赴任。
以来20年以上に渡って宮司を務める。

TOPに戻る