よみもの

「ぬかびと」さんが、
真ん中。

早島のあの人

いかしの舎の隣にある「ぬか」という建物、気になっていた方も多いのでは?
ぬか漬けのお店?いいえ、実は生活のケアを柱とした福祉事業所です。
ここではアートを活用しながら、ユニークな取り組みを数多くなされています。
今回は代表の中野厚志さんにお話をお聞きしました。

その方が1日、どう楽しく過ごすか

川崎医療福祉大学に行って、倉敷の社会福祉法人に就職をして15年くらい働いてたんですけど。そこから独立して、いかしの舎の隣で「生活介護事業所ぬかつくるとこ」をやり始めたのが2013年。2023年現在で10年目になります。
生活介護事業所というのは障害が比較的重たい方が通ってこられるカテゴリーになるんですけど、表現活動みたいなのを中心にものづくりしたり音楽したり、外に出たりもします。やりたくないとか、ちょっとしんどいから横になるとかがその方にとって必要であったら、何もしないということも尊重していて、1日をどう楽しく過ごすかを突き詰めています。
福祉事業って利用者さんて呼ぶのが主流なんですけど、ぬかでは「ぬかびとさん」って呼んでます。ぬかって「米の表皮」で、ほんとだったら捨てられるものですか。でも、糠床にするといろんなものを発酵させて、美味しいものへ作り上げることのできる素晴らしいもの。クセとかこだわりって、福祉現場では軽減しようとか、抑えていこうみたいな流れが多いんですけど、そうじゃなくて本当はそこに旨味があるんじゃないかなと。
ぬかびとさんには面白い人が多くって、クセとかこだわりとか、かなわないなぁと思っていて 。そこをどうにか一つのコンテンツに作りあげようって始めたのが一番最初なんです。だから、ぬかびとさんを真ん中において、知ってもらえるようにやってきた経緯があります。

それ常に悩んでるというか、正解がない。それが20年変わってないんですよ

2018年には 「アトリエぬかごっこ(放課後等デイサービス)」がスタートしました。こちらはマイ ペースにものづくりができる6〜18才(小学生〜高校生)を対象としたアトリエです。ぬかごっこではできるだけYESと言ってあげよう、怪我と喧嘩さえなければもうなんでもしていいよ、したくなかったらしなくともいいよってルールでや っています。
ほんとに子どもたちは自由に過ごしてますね。 廃材とかで好きなように工作して、たまに基地が出来たりしたら、また壊される笑。作りたいものが出来なくて、もやもやすることとかもあるんですけど、関わりの中から新しい創作や遊びが生まれることもあります。やっぱり「好き」とか「作りたい」がまずあるんですよね。なので子どもたちも何かを作るって目的を持ってここに来ていて、時にはすごい成長があったりして、やってよかったなぁって思ってます。

”理解しがたい”ことにツッコミを入れて面白く捉え直す「なんでそんなんプロジェクト」
第4回の「なんでそんなん大賞」事例を募集中です。他にもユニークなプロジェクトがたくさん!

最近やり始めたのが「そんなんプロジェクト」です。福祉の現場って「なんでそんなん」ってツッコミたくなるような、他者から見たら 「理解し難い行為やけれども痕跡」がいっぱいあって、そうした事や物は問題行動になりやすい。 けれども、そこに面白さがあるっていうのでやり始めたんです。ただ現場では忙しすぎて発見されないことが多いんですよね。でも、自分たちは面白さを発見できるってすごい大事だなと思っていて。そうした発見者を大事にするプロジ ェクトです。介護って大変なんだけれど、名前つけたり文章にすることによって、ちょっと俯瞰して見れるんじゃないかなって。
名前はふざけてますけど、真面目なプロジェクトなんで(笑)
どうやっていろんな人を引き込むか、知ってもらうかみたい取り組みが多分今につながっていると思っていて。それはずっと変わらずやっています。常に悩んでるというか、正解がないと思っていて。多分それが良かったんでしょうね。 ぬかびとさんもほんとにそれぞれやってることが全然違うので。 飽きないですよね。 飽きさせてくれない笑。 自分たちの範疇をすぐ超えちゃうすごい人たちです。

プロフィール

中野 厚志さん

1972年生まれ。 2013年に、早島にて「ぬかつくるとこ」を立ち上げ、現在に至る。

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